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まさかの迂回路 2

突然の通行止めから迂回路へ。

暗い中で空港のサインを探しつつ走る。
すっかりココロの余裕が無くなったから、もうシフト操作さえ煩わしい。
こういう時に、オートマなら楽チンなのにと思う。

それにしても、どこだ空港は。

町をいくつも抜け随分走った気がした。
白い飛行機マークの付いた小さなサインをやっと見つけた。
それは随分低い位置に立つサインだったが、
おかげさまで見落とさなかった。
ああ神様ありがとう。そうかこの先で右折なのね。

そしてしばらくまた何のサインも無かった。
ほんとにこの道で良いのかと、
私のことだからまたどこかで間違ったのではないかと、心配になる。
大した距離の遠回りでもないだろうに、長く長く感じた。

途中、少し高台を走っていたのだろうか、
明るい空港一帯が少し離れた所に見えた。
あぁあそこに行きたいのに……まったく、近いようで遠いものだ。

そのうちに、いつもとは全く違う方向から
走り慣れた空港への道にやっと出られた時にはほっとした。

大きなMを過ぎ空港エリアにやっと入った。
Mというのはこれ↓
これがミュンヘン空港のMの字

あーちゃんと来れてよかった。もぅ一時はどうなることかと。

車を駐車場に入れて、ひと息つく。
なんだかもう、足に震えが来た。

帰りは夫が運転する。
これでもうひと安心。


到着ロビーに行くと、夫はまだ出て来ていなかった。
ぶらぶらしながら待った。

そのうち出てきた夫と車へ。
「今日は迂回路があってもう大変だったの」と訴える。

すると夫はこう言った。
「機内でビール飲んだし、今回はかなり疲れたから、
できれば運転したくないなぁ」

げ。

それは想定外。いつもなら夫が運転して帰るのに。

何も無ければ別に良いのですよ私が運転しても。
ただ、夜間であるのと迂回路とで、
かなりナーバスな状態でやっとさっき到着したばかりの私は、
正直なところもう運転したくなかった。

なんたって、この世で最も助手席に乗ってて欲しくないのは夫。
夫もそれをわかっているので、普段ならば疲れていても運転してくれる。


6年前にこちらに来た時、
久々のマニュアル車に乗ることになり家の近くで一人で練習した。
夫が隣に乗っていようものなら、舞い上がるのは必定。
私の場合は、一人の方がよっぽど気が楽なのだ。
あるいは子供を乗せても落ちつけた。


仕方ない。走るとするか。
夫は、道はわかるから案内する、大丈夫だ、と言った。

夜間の私はゆっくり目に走る。
昼間なら時速100km出すところを80~90に抑える。
ましてや今回は町をいくつも抜ける迂回路とあって、
スピードなんてコワくて出せない。
(ちなみに市街地は、指定が無ければ最高速50km。)

さっそく夫が文句を言った。
「もうちょっと早く走れないの?」

「文句言うなら運転してよね」
「だからビールを飲んだと言っただろう」
「ふんっ」

私のナーバスな雰囲気が自分に伝わって来るのが夫は嫌なのだ。
助手席の彼は、だから機嫌が悪くなる。


それは、来た道とは何故か全く異なる道だった。
そのうち夫が、「さっぱり道がわからなくなった」と言い出した。

道路標示には、行く手にある町の名前しか出ていない。
その町の位置を知らなければ、さっぱりわからなくなる。
ドイツで走るのは、そういう所が難しい。

夫の勘を頼りに走る。
時折運転にけちをつけられため息をつかれながら、
そのうちやっと、私にもよくわかる幹線道路に出た。
よし、もう大丈夫。

と、そこで、突然道路に飛び出してきた一匹のねずみ!
ど、ど、ど、どうしよう。

避けられないので上をまたいで通過することを願った。
私は、車体に何のショックも感じなかった。

しかし夫が言った。
あーあ、あなたね、ねずみ、kaputt gemacht。(意味はおわかりですね)

助手席側のタイヤでやってしまったらしい。夫はそれを感じたそうだ。
あぁぁ…。まさかそんな。


疲れた。気持ちが疲れた。
帰宅した時には日付が変わっていた。
嫌な気分だった。

一夜明けると、首も肩もぱんぱんに張って痛かった。


最近はだいぶ日が短くなり、
これからは夕方からとっぷりと暗くなっていく。

夜間の運転は、何年住んでもやっぱり嫌いだ。
それが得意になる日は来ない。ドイツの夜は暗すぎて。


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まさかの迂回路 1

昨夜は、出張帰りの夫をミュンヘン空港まで迎えに行った。
もちろんクルマで。

家を出る時には日没をとっくに過ぎ、
あたりは既に真っ暗闇になっていた。
 
ちなみに我が家とミュンヘン空港間には、
約90kmというなかなか結構な距離が横たわっているが、
私もこれまで何度と無く往復して来たので、
既に道順は体が覚えてくれている。
特にこの7月以来、かなり頻繁に行っている。
だからもう、目をつむっても行ける。 (うっそー)

そう…かなりよくわかっている道順なのに、
これが夜に走るとなると全く違ってくるのだ私にとっては。

私は、ドイツで何が苦手って、
夜間の運転くらい苦手なものは無い、と言っても過言ではない。
(…って既に何度かここに書いてますが。)

だってドイツの夜って、
あんまり暗すぎて何も見えないんだものー。

週に何度も走る道なら夜でも問題ないが、
空港へはそこまで頻繁に行ってない。

外灯なんて無い。ヘッドライトじゃ足りない。ハイビームでも物足りない。
対向車が見える度にハイビームを元に戻すのも煩わしい。
90km走る間にハイビームを一度は戻すのを忘れて対向車に迷惑をかけ、
過ぎてからはっと気づく。

暗い中での運転に、人の視野は昼間と比較にならないほど狭まる。
これは誰しも教習で習うし実際に走ってみれば経験もする。
そして私の視野は、おそらく人よりもっと狭まるのだ。

暗い左右後方には無頓着になり、前方にのみ集中する。
目は凝るわ肩は張るは背中は凝るわでもう。
ついでに昨夜は時折雨も降った。
晴れているほうが疲れないのは言うまでもない。


さて、そうだった、ミュンヘン空港へ行くのだった。
暗いのは嫌だけれども、走り慣れた道だ、もちろん大丈夫。

ところで、到底信じられない話でしょうが、
その約90kmの道のりに、夜間も作動している信号は3個しかない!

いつものように走る。
3個目の信号を過ぎれば、あと20分で空港エリアに入る。
だいじょうぶ。

しばらく直進。その先で左折。
立体交差をぐるりと回り本線へ。

と、そこで、まさかの通行止め。

「迂回路はこちら」との標示もなく、
ただ赤々とランプが点り行く手を遮っているではないか。

そ、そんなっ。

行けるのは一本の側道だけ。
ためらいがちに進入しながら、地理を知らない私は進退窮まる。
後続車も、悩んでいた。

そのあたりまで行くと、空港を目指す車も多い。
しかし「空港」へのサインがひとつも無い迂回路の入り口。
私は、その先どうすればよいのかさっぱりわからなくなった。

すぐに突き当たりに出た。さて右か左か。

その場の成り行きで右に出てみたが、
そういう時の私の勘は、信じないに越したことが無い。
「右」と思う時には「左」が正解。いつだってそう。

だからUターンしなければ。
でも、どこで?と思って走ると前方に円形の交差点。
そこでぐるーりと一周して、今来た道へ。

さて、どこかに「空港」のサインがあるはず。
それを見つけなければ。
なのにそれが全然無い。

もう!私、ほんとに、わからないのに!

で、いい加減走ってから、クルマを停めてみた。
地図を見ようと思った。
ああ、近くまで来ているのにもどかしい。

しかし、肝心なミュンヘン周辺の詳細地図を、
そういえばいつだったか甥っ子にあげてしまったきりだった。

仕方ないので、あては無いが発進しよう。
そのうちどこかで空港のサインを見つけるといいな。

飛行機の到着時刻が迫っていた。
荷物の受け取りに時間がかかることを願いつつ、
暗闇を走り出した。

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雨の夜のアウトバーン

2週間前のこと、義弟から電話がかかって来て、こう言われた。

『 来週1週間、旅行でイタリアに行くんだけど、
 その帰りに、( ̄ー ̄) (←うちの息子のつもり)をピックアップして連れて帰っていい?
 うちのも彼と一緒に遊びたがってるしさ。
 3泊くらいで。どう?』

まあまあそれは願ってもないお申し出です。息子もすっごく喜ぶ。

私は義弟に答えた。

『 ありがとう!息子も喜ぶわ。
 ドイツにはいつ戻るの?ああそう9月1日ね。それじゃよろしく!』

義弟には、男の子が二人いる。

義弟の上の子は、
数ヵ月後に18歳になろうという我らが「甥っ子F君」(当ブログにも数回登場)で、
彼はもう、親と一緒の旅行になど数年前から行きたくなくなっている。
だから今回も一人留守番をかってでて、好き勝手に楽しく過ごしていたようだ。

そして義弟の下の子は、11歳だからまだまだ親と一緒に旅行する年頃だ。
この子とうちの息子は、とても仲がいい。
けれど今年はどうも互いのタイミングが合わず、会えた回数がぐっと少ない。

義弟がうちの息子を数日でも預かってくれれば、
息子も喜ぶし、私も家が静かになって嬉しいし、ついでに娘も嬉しい。

ということで、私達は、義弟ファミリーがドイツに戻るという9月1日を、楽しみにしていた。

が。

昨日(その9月1日)になり、義弟がイタリアから電話をかけてきてこう言う。

『 こっち(イタリア)を出るのは多分午後の4時くらいになるかなぁ。
 あのさ、アウトバーンA8の、Irschenbergイァシェンベァク(地名なんてどうでもいいですが)の
 マクドナルドまで、( ̄ー ̄)(←うちの息子のつもり)を連れてきてもらえるとすごく助かるなぁ。
 うちがそこに着くのは、夜の9時とかになると思うよ。
 ガーネットの家にまわると、100km遠回りになるからさ。
 それじゃよろしく!』   
   
           補足 : アウトバーンA8 → ミュンヘン―ザルツブルク自動車道

は?何ですと?

私は、てっきり、彼が我が家まで息子を迎えに来てくれるものと思っていた。
うちに来るのが午後の3時とかで、うちで一休みしてお茶でもして、
それから息子を連れてってくれるものとばかり…。

ところで、今これをお読みの皆さん、
私は、ドイツ・オーストリア(ま、つながってますから)、
ついでにスウェーデンでも(ってスウェーデンはまあ関係無いんですが)
アウトバーンを走ったことがあるにはあるんですが、
走った回数は、両手の指で足りるくらい。
それくらい経験が無いのですよ。

さて、私は焦った。
私という人は、こういう時に落ち着いていられる人間では断じてない。

突然私に与えられた、ミッション・たぶん・ポッシブル(?)。
しかし、Irschenbergイァシェンベァク(地名なんてどうでもいいですが)のマクドナルド、とな?
それはいずこに?

昨日は日中忙しくて、
やっと夜になってそのマクドナルドが具体的にはどこにあるのか、
インターネットで調べた。

きっとアウトバーンのサービスエリアにあるんだろうと思ったら、
地図をよくよく見ると、どうも一旦アウトバーンを出る、みたい。
サービスエリアにあるのは、マックじゃなくて、バーガーキングだ。

義弟のケータイに電話して言った。
『A8を、99番っていう出口で出て、そしたらすぐみたいだけど、それでいいのよね?』

『 え?アウトバーンから出る?あ、そうだったかなー。どうだったかなー。
 いやー、オレもあのマックに入ったことは無いんだけどもさ。
 あのほら、そっちから来りゃ左に見えんじゃん、あれだよ。』

この義弟は、いつもこんな感じで、軽いノリである。

口にはださぬが、私は思う。
何なのよ、そっちは落ち着いてるかもしれないけれど、
こちとら、きっちりとわからないことには、出発できない!
ましてや、そのナンとか言う地名も、私全然知らないんですけども。

電話のむこうで、彼の奥さんが言ってるのが聞こえる。
『あらー、ガーネットのクルマには、ナビ、ついてないのー?』

(この奥様は、少々女王様的性格のため、夫一族から実は嫌われているが、
 ご本人は永遠にそうと気付かない。)

そうです、うちのクルマにナビは無い。

さて、仕方が無い。
ネットで調べて、該当地図を、安心感が少しでも増すように、一番拡大して印刷。

確かに、それらしいマクドナルドは、これしかない。
やはり、99って出口で出る。
すぐ突き当たりの円形交差点(って言うんですか?)を左方向。
そしたらアウトバーンの下をくぐる形になって、マックはすぐに左手に現れる。

私は、ドイツで何が嫌いって、
●ドイツの『知らない所』に、自分で地図で確認しながら運転して行かなきゃいけない時。
●ドイツの、お先真っ暗な暗闇でクルマに乗らなきゃいけない時。

今回の「ミッション・たぶん・ポッシブル(?)」は、
この二つを完璧に満たしているため、私の不安は二倍になる。

日本だと、どこでも街灯とかあるから、
車が走るような所には、『真っ暗闇』というのがあまり無いように思うんですが、どうでしょうか。

ドイツの夜っていうのは、しかし、まさに射干玉(ぬばたま)の闇。

暗いと、要するに全てが見えにくいから嫌なんですよ。
それに、先行車も後続車も無い状態で暗い中を走っている時なんかは、
それを上空から見た時のことを想像しちゃって、その孤独がコワイ感じ。

ま、息子のために頑張る母です私も。

さて、義弟がそのマックに到着するであろう時刻の1時間前に義弟から私に電話をしてもらい、
電話をもらったところで私が息子を連れて出る、という手はずに相成った。

しかし、8時半にかかってきた電話では、途中ものすごい雷雨と、あとは渋滞もあったそうで、
『ちょっと遅れるかなー。マックに着くのは、10時まわるかなー。よろしく。』

ま、10時到着を目安に、私は息子を連れてこれから出る、と義弟に伝えた。
そこまで自宅から1時間弱かかるはずだ。

時刻が夜の9時になろうとする頃に、私達は家を出た。
こんな時間に、こういう用事で出かけるなんて、楽しくないなあ。

さて、車に乗り込んだら、、、がーん、さっき拡大プリントした地図が、
外が暗いから車内も暗くて、これじゃ何も見えないじゃない…。
しかし、地図はアタマに叩き込んであるから大丈夫、と自分で自分を慰める。

さて、少々遠回りにはなるが、自宅から最も近い入り口を使ってアウトバーンに入ることに。
(インターって言うのか。もう日本語も出てこないわ。)

そのうちザンザン雨まで降ってきた。
トラックにまで追い越されるというスピードで走る私。
情けないけど、仕方がない。
自分の気持ちの追いつかないスピードを無理に出すのは、どうも私の趣味ではない。

明るければね、アウトバーンに入って次第に慣れるにつれて、140kmhくらいまでなら出せます。
でも、暗いと、だめなんですよ、だって、何たって先が見えないんだもーん。

どうして、人は、あんなに飛ばせるの?
ヘッドライトをハイビームにしてもいないのに?
ああ不思議。

出口のナンバーが、登り車線の場合は、その数が減っていく。
そう、103、102、101、という風に。

次が99、次で出るんだ、という所になって、後部座席の息子が言う。

ママ、間違わずにちゃんと来れたね。

まあね、間違いようも無いルートなんだけどね、
ママって、なんでこうナーバスなっちゃうかな。
とにかく暗いとだめなの。

うん。パパなんてさ、ママの二倍のスピード出すよね。

まあ、二倍とまでは行かないだろうけど、
いいよ別に、ママって夜は遅いんだよ、トラックよりも。
でもさあ、無事にマックに……。

着いたと思ったのだ。

しかし、マクドナルドへの進入路~♪と思って入ったその道は、
な、な、なんと、私が帰るはずのアウトバーンの下り車線への進入路であった。

おっと。ここまでパーフェクトだったのに、私ときたら最後の最後でドジを踏む?
夜も遅いし、他車もいないし、ええい、止まってしまえ。

入って5mで右寄りに停車。
後ろから一台来るも、クラクションも鳴らさずにやり過ごしてくれた。
ああ、ありがたや。

ということで、あっさりUターンさせてもらって、無事にマックの駐車場にたどり着いた。

何のことは無い、私は、一本早く左折してしまったのだった。
マックへの入路は、15m先の二本目だった。
そのあたりは、ほんとに暗くて、どれがマックへの入路なのかとっさに見極められず、
手前のアウトバーンへの進入車線に入りかけた、のだった。

良く見りゃちっちゃなMのサインが、左手にあった。
ちっちゃ過ぎて暗すぎて、最初は見えなかった。

とにもかくにも、無事に着いてよかった。
義弟の車が着くまで、私はゆっくりとMacCafeで、ホットチョコレートを飲んだ。
気持ちがくたびれた時は、甘いものに限る、だ。
息子は、夜の10時だというのに、大好きなビッグマックを頬ばった。

義弟もじきに到着し、私は義弟夫婦と少しお喋りした後、息子を預けて一人帰途についた。
帰り道は、娘に借りてきたKAT-TUNのCDを聴きながら帰った。

ああ、私って、ドイツの、夜の、雨の、アウトバーンを、
トラックよりのんびり走りながら、KAT-TUNを聴く、
世界で唯一人の、ジャパニーズよねぇ。よくがんばったわ私。

来た時よりももうちょっとだけスピードアップして、帰った。
雨足は、かなり弱まっていた。

ということで、おしまい~。

自宅からの走行距離? → 往復で130km

え?そんなに?と自分でもビックリ。

帰宅時刻?        → 23:20 でした。




大変長々と書いてしまいました。
最後までお付き合い頂いて、ありがとうございました。
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どきどきアウトバーン

前々回の「靴、ぬいで!」の続きです。

夫の実家を後にして、私達は夫の友人宅へと向かった。
アウトバーンと一般道を使い、さらに走ること30分。

夫は友人宅に一泊し、二人は去年から計画していた旅行に翌朝から発つ。

私に与えられたミッションは、
この友人宅から自宅までの180kmの距離を、自分で運転して帰ること。

そのうち約110kmはアウトバーンを使う。
ミュンヘンの西側からミュンヘンの北を廻って
東側へ抜けるまでがアウトバーンになる。
途中、ミュンヘンのサッカースタジアム、あの Allianzアリーナ脇も通過する。

普段しょっちゅう車には乗っているものの、
私の行動範囲などたかが知れてる。

友人宅から180kmの距離をアウトバーンも使って帰るのは、
恥ずかしながら、実は不安だった。

前夜、私は急に思った。
夫が戻るのは2週間後だ。我が家は車が一台なので、
夫が明日一人で運転していけば、私は2週間車無しの生活になるけれど、
それでも何とかなるかな?と。

車無しでは不便だが、でも不安な気持ちでアウトバーンを走るなど、
できれば避けたい気持ちが芽生えてきた。

私は、ドイツとオーストリアのアウトバーンを走ったことはあるが、
(ついでに、スウェーデンでも自動車道を走ったことがある、と自慢しておこうっと。)
それでも両手の指を使って余りが出るくらい、経験が少ないのだ。
それに距離も長いし・・・。

だが、しかし、子供がケガをするとか歯が痛むとか病気になって医者に、
などということは、いつだって車の無い時に限って起きたではないか。
うーむ、やはり車無しの2週間はきついか。

まあ、そんな私の不安など、夫は相手にしない。そう、相手にしないのだ。
大の大人(この場合、それはもちろん私)たるものが、
何かに対し、それは心配だからやめておく・できない・したくない、などと、
弱音と言うか、とにかくネガティブな返事をするのを、夫はひどく嫌う。
大の大人が、たかが運転を不安になるなど、彼には理解不可能だ。

夫は不安がる私を見て、首を横に振るジェスチャーを見せる。
私が心から嫌っている、ドイツ人のこのジェスチャーからは、
お前は(運転も不安がる)ダメ人間だ、と言いたい夫の気持ちが伝わってくる。

大の大人は、とりあえず大抵のことは自分で難なくできるべきである、
それが外国であろうとも、よほどのことがない限りは、というのは夫の持論。

実際彼は、東京でもかなりのことを自分でやってきた。
こと運転に関して言えば、都内も地方も高速道も、どこだって運転した。

それに、旅行でどこの国に行こうとも、
まるでそこの道路を知っているかのように、
レンタカーをすいすい運転できる人なので、
私はその点ではとても感心する。

そして私は、まさに彼とは正反対。
知らない所での運転は、家から距離が離れるほどに、不安が募る。

夫は怒る。
日本で運転するほうがよっぽど大変だ!
アルファベットの表示が無いことだってどれだけあるか!

私は、日本を代表してドイツに怒られてる気分になる。

もちろん、ドイツの一般道もアウトバーンも、
日本よりはるかに走りやすくできているに違いない。
渋滞もおきにくい設計だと思う。

しかし、私はドイツ人じゃないから、
彼の気持ちをそっくりそのまま感じることは出来ない。

来る途中で寄った夫の実家では、義両親以外に義兄夫婦にも会った。
義母も義姉も、一人で帰る私を気遣ってくれる。

義姉などは、もともとあまり運転自体好きじゃないから、
自分にはアウトバーンを使ってなんて出来ないわ、とまで言う。
不安を覚えるのは私だけじゃないとわかって、私は嬉しい。

義兄は一言、そんなの走ってりゃいつか家に着く!
もしかするとオトコというのは、運転に不安が無いのだろうか。

さて、夫について友人宅まで来た以上、
私は自分で運転して帰らなくてはならない。

行きの道すがら、夫の運転でアウトバーンを走る間も、
私が帰る車線、つまり反対車線の、大きな道路標示がある度、
振り返って確認までした。

私の不安がどこから来るかというと、
アウトバーンの標示に出てくるドイツの地名の、
具体的な位置をちゃんとわかっていないところ。

ミュンヘンの西から入り、ミュンヘンの北を廻って東側へ抜けるためには、
途中いくつもあるジャンクションの度に、間違いは許されない。

だって、間違ったらきっと、私には修正不可能に思える。
もうスリル満点、はらはらどきどきである。

ベルリン方面に行かないのはわかるが、
シュトゥットガルト、ニュルンベルク、パッサォ、、、
あとはどこへ行っちゃいけないって?
などと夫に聞き、またしても呆れて夫は首を横に振る。

友人宅で一休みし、いよいよ一人帰途についた。
友人宅からアウトバーンまではかなり単純な道順だったから、迷わなかった。

アウトバーンに入り、あ、持って来たBoAのCD、セットするの忘れた、と気付く。
不安な時に日本語の曲が聞こえていると何だか安心する私だ。

時速100kmに抑えつつ、体ひん曲げて小物入れからCDを出してセット。
BoAの歌声に、ちょっとだけ落ち着く。

うーん。私って、、、
ドイツのアウトバーンを疾走しつつBoAを聞く、世界でただ一人の日本人だな。

しばらくは空いていたから落ち着いて走れたが、
ミュンヘン手前のジャンクションで早くもドキドキ。

ドイツの地理を頭に入れるのはとうに諦めてたので、
アウトバーンの番号だけ頭に入れておいた。
96から99から94。

でも、ドイツのアウトバーンというのは、
ドイツでの番号と、ヨーロッパでの番号とを持っているから、
標示の中に沢山番号が並んでいることもある。
その中から96、99、94を探しつつ走る。

この日私は、異例のゆっくりさで走った。実に時速100~120km。
このスピードは既に、皆さんの迷惑というものだ。
混んでいればものの2分で100台に追い越されるかの遅さ。

でも、不安な時は気持ちがスピードに追いつかない。
もっと早く走るとコワイのだ。

さて、一体いくつジャンクションがあったかわからないが、
一度だけ焦った箇所があったものの、結果的にはなんとか間違うこと無く、
私は無事に家までたどり着いた。

運転を終えてこんなにホッとしたことはなかったくらい、ホッとした。
ああ、神様ありがとう。
180km、ちょうど2時間、かかった。
こんな長距離を外国で走った経験はこれまで無かった。

夫は、私の弱音を取り合わない。相手にしない。
そして私は、その都度腹を立てながら、
どうしてこの人は、
私を勇気付けるやさしい言葉の一つも言えないのだ、とよく思う。

そう思うとき私は、自分がいかにも日本人女性ならではの、
甘ったれな部分をいまだに彼に対し見せている、と自分で感じる。

結婚して何年もたって、
夫だっていつまでも優しい言葉で私を励ましたりは、いい加減しなくなった。
ま、お互い様だ。

私は、今回のような気の進まないことでも、結局はいつも夫の言うように行動し、
無事にそれが済めば、
結果、私には、また一つできたのだ、という思いが生まれる。
それは私の、ドイツで住んでいく自信につながる。
むかつく夫のお陰で、というのが少々癪には触るが。

そして今日午前、息子はサッカークラブでの試合があった。
集合場所まで車で息子を送っていきながら、
ああ車があって便利便利、と思った。

ああ180kmを無事に帰って来れて良かった。
私はひそかに自分を褒める。
小さな自信がまた一つ生まれて、今日はけっこうハッピーな気分の私だ。

だがもちろんこんな私の気持ちなど、夫に言わせれば、
けっ!何を大げさな!である。

たいへん長い記事になってしまいました。
最後までお読み頂きありがとうございました。


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時々むずかしいぞ運転

普段の自分の行動範囲などたかが知れてて、

遠くても片道20kmに納まるくらいだ。

勝手知りたるその範囲内を車で動くのはまったく問題ない。

でも、どこか知らない所、

それもちょっと距離のある所まで行く用事ができると、

ドイツの道路を走る難しさを感じることがある。

 

ところで、ドイツでも、車にナビを付ける人は増えてきたが、

日本ほどではない。日本人はああいうのが好きだものね。

東京で乗ってた車は、最初からナビが付いていた。

お陰で助かったことも沢山あった。

しかし、あんなおもちゃ、と馬鹿にする夫は、

こちらではナビをつける気が全く無い。

というわけで、うちの車にナビは無い。

 

さて、話を戻すと、

日本の場合は、現在走っているのが○号線で、直進すればどこ方向、

右折すれば○号線に入りどこ方向、という至って親切な標示だが、

ドイツの道路標示には、道路の番号や名称は一切出ていない。

直進すればどこの町へ、左へ曲がればどこの町へ、

といった表示のみだ。

(これは一般道の話です。アウトバーンは異なります。)

だから、目的地点までの間にある主だった地名、

自分が通過するであろう地名を、ちゃんと頭に入れておかないと、

距離が長ければ長いほど、どこかで迷ってしまうのだ。

 

地名など、そういくつも一度には覚えられないので、

私の場合は、メモに書いて、地図と一緒に助手席に置く。

もちろん、ずっと一本道なら簡単だが。

ドイツの田舎はだだっ広くて、景色はどこも似たようなものだ。

ランドマークになるものもないから、これがまた難しいところ。

道路標示を一つでも見落とせば、もうどこなんだかなんなんだか、

わからなくなることもある。みんなスピードが速いから、

その流れに乗りつつ、標示に気を配らなくてはいけない。

 

あと、難しいと思うのは、立体交差が何度もあるとき。

あ、ここさっきの交差点だ、みたいな感じで

その交差点の風景を頭の片隅に入れる、というのができない。

立体交差というのは、どれも似たような構造なので、

見分けがつきにくく、結局は道路標示に頼るしかない。

そしてその立体交差はたいてい、

例えば、東京の山手通りと目黒通りの立体交差、みたいな、

そんな単純な形はしていない。

 

知らない場所でもどこの国でも、すいすい運転できる人がいるが、

私はそうではない。知らない所に向かって走る時も帰りも、

だから何だか緊張しっぱなしになるのだ。

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