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結婚式の思ひ出

結婚式は、92年の6月だった。
梅雨の合間の、その日だけ晴れた。

ドイツ人の彼は、純和風の結婚式をやろうと言った。
私の家族・親戚を思いやっての言葉かと、あの時は嬉しかった。

でも当時の彼はまだまだ和風の事に興味があって、
羽織袴も、実は着てみたかったのだ。
何のことは無い、当時から既に自分本位のドイツ人なのであった。
しかし私は、浮かれていたのでそれを見抜けなんだ。

私は、ウェディングドレスにも憧れていたので、
日本じゃ白無垢、赤い打ちかけ、ドイツでは純白の、、と思ったら、
ドイツでは式はやらない、と彼は言った。
結婚式は一生に一度だけ。日本でやるからドイツではやらない、と。
私もそれにはとりあえず、妙に納得だけはした。

いざ純和風の結婚式を、ということで私達は場所を探した。
とある山のふもとの、美しい景色に囲まれた神社を見つけた。
長い石段を登りきると、なかなかいい感じで真新しい社(やしろ)があった。

ここにしようと二人で決めて、神主さんをつかまえて申し込んだ。
始めは少々驚かれたが、快く引き受けていただいた。

式当日は、早くから起きて支度をした。
彼はなかなか、貸し衣装が似合っていた。
私は面長の顔立ちなので、日本髪のかつらもよく似合って、
これでなかなかの花嫁になった。

社に続く長い石段を、二入で手をつないで登った。
家族も親戚の人達も友人達も、みんな笑顔で頑張って登った。

ドイツ人の友人達も式に招いていたら、その中の一人(男性)が、
皮の半ズボンと上着とハイソックスという奇妙な出で立ちで現れたので、
私は、こりゃ一体どういうカッコか?と思ったが、
今から思えばあれは、バイエルン州の伝統的なお祭り衣装であった。
その彼は北ドイツの出身だったが、
バイエルン州出身の夫に敬意を表してちょっとふざけたのだと思う。

式は、滞りなく進行し、三々九度の杯も交わした。
(私は日本酒は嫌いなので、なめただけだ。)
そして私達は、「誓いの言葉」というのを二人で巻物を広げて読み上げた。

しかし、そもそも「誓う」などという行為は、
およそ人間には不可能なことであるとかねがね思っていたから、
根が正直者の私は、「誓う」ことに対し心の中で非常に葛藤を覚えたが、
これを読まないと式も終わらないので、仕方なく読むことに同意した。

めでたく式も終わって、神社の前にみんな繰り出しシャンペンで乾杯した。
赤い内掛けを羽織った私がシャンペンのボトルを持っていた図は、
なかなかどうして、自分で言うのもなんだが、なかなかよかった。

純和風の式が終わった後は、純和風の披露宴へと突入した。
とある山のふもとの神社から、そう遠くないとある町の仕出屋に皆で向かった。
仕出屋の二階で、お膳をずらーりと並べての宴会をした。

母方の叔母達はみな芸達者で、
三味線を弾いてくれたり、歌や日本舞踊で盛り上げてくれた。
お膳を前にした私は、時代を遡って知らない昔に迷いこんだような気がした。

祝福されて、嬉しかった。
みんなが、楽しかった。

16年前の6月の、夢のような一日だった。
ただ幸せだった。

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コメント

No title

6月の日本で1日だけ晴れたとは、すごい祝福だったんでしょうねー!
北ドイツ出身のお友達、その場でそのファッションの誤解(?)が晴れればよかったですが、日本の参列者は???なままだったんでしょうかw
ところで純白のウェディングドレスの後悔はまだ残ってますか??

後悔ありませんよ

北ドイツ出身の彼の、あの皮のジャケットはまだいいとしても、皮の半ズボンとハイソックスは、日本人参列者全員が「こりゃどういう格好であろうか?」と思って、でも誰もまさか口にも出せず、そのまま現在に至っていると思います(笑)。
ウェディングドレスを着なかったことに関しては、後悔は全くありません。着てみたかった気持ちはゼロではなかったけれど、あの時はそれを残念に思うような気持ちは全く起きませんでした。白無垢・内掛け、お色直しに黄の振袖を着せてもらって、私は充分に嬉しかったのです。
そういえばあの日は、天気が一日もったのですが、仕出屋二階の純和風披露宴が終わる頃に、ざんざん雨が降ってきました。

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