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何て言ってあげたらいいのかわからないけど、とりあえず電話してみた

義母が手術入院する日が、明日に迫った。
明日の検査の結果次第とは言え、九割方、明後日の手術となるようだ。

義母は、自分の体よりも、義父のことをずっと心配してきた。
自分が手術になれば、数週間は家に帰れない。

義父の認知症が、
具体的にどの程度の段階と言うのか私はわからないが、
数時間前の記憶がおぼつかない状態らしい。

義母が癌の手術で入院する、ということを義父に話せば、
たった今は理解してもらえるが、
数時間後には、わからなくなるようだ。

数時間後にはわからなくなって、
義母がいなくなる事実だけに心の焦点が合うらしくて、
自分のことをほったらかしてここからいなくなるのか?と、
義父は義母に腹を立てるらしい。
そして義母は、悩んで泣いた。

だから周囲の人は、
同じことを何度も根気強く説明してあげなくてはいけない。

義父は、一人で食事の用意も何もできない。
一人で長い時間を過ごすこともできない。

だから、義母が家にいない間の義父の世話は、
第三者(住み込みヘルパーさん)の手を借りる以外は無いだろう、
というのが、義両親の3人の息子達が出した結論だったが、
義母はそれを拒み続けてきた。

誰かが家に入るのは……ましてや住み込みで……
それは嫌だ、と義母は言い続けてきた。

しかし、他にどんな手がある?

義母の子供達は、父親の世話をしないという基本姿勢を崩さない。
そばに住んでいる子(私にとっての義兄・義弟)さえもそうだ。

だったら、他にどんな手がある?

義父は、一見ぼんやりしているみたいだが、
一時的であっても介護施設には入りたくない、自分の家にいたい、
という堅い意志だけは、はっきりとあるみたいだ。



私は、翌日の入院を控えた義母に、数時間前電話をかけた。

癌の手術と治療をこれから受ける義母の不安に対して、
一体全体何て言ってあげたらいいのか、私は全くわからなかった。

日本語ならばまだ、いかようにも言葉を尽くせる気がしたが、
未熟なドイツ語で、どんな風に言葉を尽くせばいいのだろう。

血を分けた子供達と意見が合わない義母の心中を考えたら、
言葉など簡単には見つからなかった。

それでも義母は、私の電話を喜んでくれた。



そして義母は、思いがけないことを言った。

イギリスに住む親友が、たまたまドイツに来ていて、
3日前に連絡をもらった。
彼女は、今週末イギリスに帰る予定だったが、
予定を変更して、この家にいてくれる、
自分が退院して家に戻るまで、ここにいてくれる、
自分の留守を、守ってくれる。

そういう話だった。

ああそれは本当によかったね。
私は、心からそう言った。



こんなことがあるなんて、
私は、神様の計らいのようなものを感じずにはいられない気分になる。
それとも、守護霊の計らいか。

義母は、安心していた。
病気への不安は消えなくても、
彼女と同じく年老いた親友が、
あんなに自分が気に病んでいた自分の留守を、
守ってくれる助っ人として突如現れてくれたのだ。

義母の親友というその女性に、
私は、これまで数回会ったことがある。

ドイツ人で、イギリス人と結婚してもう何十年もイギリスに住んだ。
ご主人が亡くなってからも、ずっとむこうに住んでいる。
1年に一度か二度、里帰りする。

彼女のドイツ語は、すっかりイギリス英語訛りになっている。
凛としたおばあちゃんだ。



私は、義母の話に安心した。

あとはもう、医術にすがるのみだ。
すがって信じるしか、義母にはできない。
ここから先は、全てを委ねる医師に頑張ってもらうしかないのだ。

私は、あの時と同じことをまた言った。

何もしてあげられないけど、
あなたのことを考えているよ、
明日も明後日も明々後日も。

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