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頼みごと

ドイツの田舎暮らしにおいて、
共働きの夫婦がそれぞれ自分の車を持っているのはごく普通のことだ。
それは日本の田舎も同様だと思う。
特に、バスも電車も不便なところに住んでいると、
車が無ければどれほど大変な生活になることだろう。

我が家の場合は、
田舎暮しではあるが、しかし共働き夫婦というわけではないので、
とりあえず車は一台しかない。

そしてたまに、だからとっても不便なことがある。
車が一台しかないと、言うまでもなく、夫が車を必要とする時に、私に車がなくなる。

今週は、月曜夜から火水木と、夫が仕事で車を使う。
その間、私は車が無い。

車の無いときに限って、車が無ければ用が足せないことが不運にも重なるものだ。

思い起こせば、子供がもうちょっと小さかった頃はもっと大変だった。
子供というのは、車の無い時に限って何かしらアクシデントが起きるものだった。
しかし、二人とも十代になった今は、ありがたいことに以前程ではなくなった。


ところで先週末、娘のために書店で本を一冊注文した。

娘はその本を、今週末までに読破し、本と著者の紹介文を書き
(誰もがその本を読んでみたくなるような紹介文を目指して書かねばならない)、
来週早々のドイツ語授業で発表することになっている。

こういった課題は、これまでにも時たまあったので、娘としては慣れたものだろうが、
今回は本選びに何だか時間がかかってしまった。

そして娘の選んだ(思いついた)本というのが、
昔々私も読んだことのある(映画も見た)ペット・セメタリー(スティーヴン・キング)。

なぜにその本を14歳の娘が思いつくのか……私もよくはわからないが、
娘にあらすじを話して聞かせたことが、確かにかつてあった。
印象深かったのだろうか。

主人公は、幼い我が子を交通事故で失う。
その悲しみ辛さがひしひしと切なく伝わってくる。
悲しみのあまり、そして彼は正気を失うのだ。
とってもコワイけれども、それ以上にとっても悲しい物語であった。

私が昔持っていたはずの文庫本(もちろん日本語訳)が見つからず、
それじゃ買いに行こうということになった。

ところで、ドイツの本屋というのは、
とにかくいつ行ったって、欲しい本が店にあった例(ためし)が無い。
だからいつだって注文することになる。

アマゾンで頼めば、自宅に郵送されるから確かに楽ではあるが、
どうも過去の経験からすると、届くまでに1週間もかかることがあるので、
今回は書店に注文し受け取りに行く方が早くていいだろうと考え、
先週末の土曜の夕方、買い物ついでに注文をした。
親切な女性店主はこう言った。

はいはい、来週火曜の朝には届きますよ。9時の開店に本もちゃんと届いてますよ。

最近は書店のサービスも格段に良くなって、
平日ならば、16時までに注文すれば翌朝届いている。
ただ、週末が挟まると、どうしてもこんな風に時間がかかるのだ。

よしよし、火曜に受け取れば、火曜の夜から娘は読み始められる。
決して薄い本ではないけれども、あの子なら週末までには読み終えるだろう。
私はそう思った。

そしたら急に夫が、出張で月曜夜から木曜まで車を使うと言い出した。

本を注文した書店のある町まで、我が家から16kmの距離がある。
(私達の住んでいる町には、本屋は無いのです。)

さてさて、車無しにそれじゃどうやって本をとりに行くかと考え、
運動不足の解消に自転車で行くか、と考えてもみた私だ。

しかし、おそらく片道1時間20分はかかる。
命より大切な娘のためとは言え、
たかが本一冊のために、往復2時間40分ほどを、走るか否か…。

娘は、そこまでしてくれなくてもいいと言う。
でも、それじゃどうする?どうやってその本を出来るだけ早く受け取ろう。

ということで、私は娘と一緒に悩み、はたと思いついた。
そうだ、我が愛すべき隣人にお願いしてみてはどうだろうか。

その夫婦は共働きで(共にドイツ人)、旦那さんも奥さんもそれぞれ車を持っている。

旦那さんの車は、今春買い換えたカブリオレのベンツで、とってもカッコイイ。
彼は、ドイツ人にしては小柄な男性だが、
さわやかさとセクシーが同居するなかなか魅力的な男性だ。

なーんていうことは、しかしこの際どうでも良い。

肝心なのは、奥さんの勤務地がその書店と同じ町にあるということである。
私は彼女にお願いしてみることにする。

しかし彼女に話す前に、彼等と同じドイツ人である我が夫に伺いを立ててみる。

どう思う?変かしら?でも、大したことじゃないわよねぇ、本の受け取りくらい。
私だって逆の立場で頼まれたなら、喜んで受け取りに行ってあげるわ。
ね、お願いしても大丈夫よね?

しかし夫は、憎たらしくも言った。
すごく変だ!

そうかなぁ。
そんな変かなぁ?
私には、どこがどれほど何ゆえに変なのかが、どうもわからない。ピンと来ない。

ということで、夫の言葉はとりあえず重要視しないことにして
(そもそも夫などに聞いてみるんじゃなかった、私の気持ちが揺れただけであった)、
娘のために私は、ガイジンならではの変人にもなろう、と思うことにする。

そしてお隣の奥さんに頼みに行こうと、夜になって娘も連れて家を出たらば、
偶然にもその奥さんも外に出てくるではないか。
(明朝は2週に一度のゴミ回収日だから、彼女は単にゴミバケツを道路わきに出しに出てきたのだった。)
私は彼女を呼び止めて、頼みごとをした。

困った時はお互い様、持ちつ持たれつの世の中なんだから、
と彼女が思ってくれたかどうかは定かではないが、もちろん彼女は快く引き受けてくれた。
私も、それが私の単なる読書欲のためではなく、娘の授業のためであることを強調した

よし、本に関しては一件落着である。

まったくもって、車があれば何でもないことなのである。
すい~っと運転して自分で取りに行けばよいのだ、それだけのことだ。

なのに車が無いというだけで、にっちもさっちもどうにも動けなくなる。
ここにはその町行きのバスも無ければ、電車の駅さえも無い。


そして車の無いときに限って何かと重なるもので、明日火曜は息子の学校の遠足日。
息子のクラスは、なんと集合時刻が朝の7時15分。
これは、いくらなんでも異例の早さ。

ここの町から路線バスで通学する子達(うちの子もそう)は、
普段のバスに乗るとこの集合時刻に間に合わないので(だって学校に7:35着)、
親か誰かに、間に合うように送ってもらわないといけない。他に手は無い。

私は、近所の、息子と同じクラスの子のお母さんに電話をかけて聞く。
明日の朝は、子供を車で送っていく?
もしそうなら、うちの子を乗せて行ってもらえないかな。私は車が無くて…。
運良く、知り合いのお母さんの一人にお願いできた。


ドイツの田舎生活というのは、
車が無いと、こんな風に誰かに遠慮しいしい何かを頼まなくてはいけなくなることが、
時たまひょこひょこっと出てきたりするものなのである。

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コメント

ちょくちょく拝見させていただいてます。
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見て頂いて嬉しいです。ありがとう!
どうも最近、文章にまとまりというものが無く、
この記事などはもう、話があっちへ飛びこっちへ飛びしております。
ですが、これに懲りずにまた来てねー。

私も風邪

ガーネットさん、こんにちは。おひさしぶりです。
私もこの寒さで先週末から風邪をひいてしまい、昨日は無理をして仕事に行ったのに、今日はお家でダウンです。でも、それをいいことにガーネットさんのブログをゆっくり読んでます:)
街に本屋が無いのは大変ですね。しかも本屋のある街に行くバスも電車もないとは。やっぱりドイツの田舎は日本の田舎とはひと味違いますね。
ところで、文章にまとまりが無いと書かれてますが、全然そんなことないと思いますよ。私は文を書くのが苦手なので、私の判断なんて当てになるものじゃないですが、いろいろなところに話題が飛んでも、ガーネットさんの日々のブログはちゃんと一つのテーマに収まってるので、文章書くのが上手だなと思いながら読ませて頂いてます。それに、話題が飛ぶのも楽しいですよね。個人的には、隣の旦那さんについてのエピソードなんか好きです。
これからも楽しみにしてまーす。クロストレーナー、がんばって下さい!それから、また風邪引かないように。
私の落ち込み具合は、あれからまた良くなってきました。頂いたアドバイスのように、以前より頻繁に日本の家族にメールしたりしています。ありがとうございました!

お大事に。

本当に、この寒さは何なんでしょう。9月にしてはあんまりな。
自転車で10分か15分かという範囲内に書店が無いというのはほんと不便なものです。
確かに、日本の田舎とはひと味もふた味も違いますねー。
文を書くのが上手い、文章が読みやすい、といったコメントをたまに頂きます。とても嬉しいです。しかし自分ではどうも最近まとまり感が無いんですね。私もずっと落ち込み気味なんですが、落ち込み具合と文章のまとまりの無さとは比例しているような気が最近するんですよ(汗)。
クロストレーナーは、あれですよ、ブログに書いた以上はやらなくちゃ、みたいな感じで。でも、全くやりたくない日はものの15分でやめちゃいますね。すると体が温まるでもなく汗もかかない。15分じゃ何の意味も無いんでしょう。
風邪、今日はどうですか。お大事にね!

はじめましてのコメントです。

今、15歳の娘がケルンの高校に交換留学中なのにも関らず、ドイツの事はあまり知らなかったのであちこち寄り道しながらこちらにたどり着きました。私は、南半球オーストラリア在住なのですが、この国は移民化が進み地理的なこともあってすごくアジア的で、住みやすいところです。それでも長年海外に住んでいると、やはりいろいろ思う事はあります。これから年をとったらどうしよう、とか。
娘は半分オージーなのですが、日本人的な面もかなりあるし、見た目も日本人っぽいのでドイツでどういう風に見られているのか興味あります。
又、コメントしますね~。

初めまして~

15歳のお嬢さんが単身で交換留学とはすごいですね。えらいです。
うちの娘(もうすぐ15歳)は、とにかく東京に引っ越したくて、日本の高校に通ってみたくて仕方ありません(ドイツに住むこともドイツ人も嫌いなんです)。でも、親として具体的な考えはまだ何も。ドイツで大学に入り日本に留学する機会があればそれが良いのでは、と思ってみたり…。
私達は、娘が4年生になる時にドイツに移りましたが、娘は顔立ちが日本人ではないことと、周囲の生徒達に優しく利口な子が多かったのかなと思いますが、お陰で他の子にいじめられた経験は、ドイツではありません。現在9年生で、どうもフランス語の先生に最近意地悪されてるみたいですが…。
でも息子は、顔立ちがアジアっぽいので、中国人と間違われいじめられた経験が多くあります。6年生になった今でも無くなりません。
決してのりこさんに心配させようというつもりは毛頭ないのですが、ドイツでは、アジアの位置づけが低いので、中国人同様に日本人も嫌われる場面が無いことは無いのです。子供は毎日学校に行き多くの子供達と接する分、それだけ嫌な思いをするかもしれない機会が多いと思います。
ただこういうのは、街か田舎かということも関係してくると思うし、要は、「普通の優しさを持ち合わせている利口な大人や子供達が周囲にどれだけいてくれるか」だと思うのです。
お嬢さんが、楽しい学校生活を送っていることを祈っています。
私はやっぱり日本に戻りたいですが、でも現実は自分一人の力では無理な気がするし、ほんとこの先どうするのか、自分で先が見えないので、落ち着かない部分も多々あります。

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