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尽きぬ悩みは子育ての道

14年来の友人クリスティーネが、先日私の誕生日の朝電話をくれた。
受話器を取るなり、突然ハッピーバースディ(ドイツ語バージョン)を歌い出す彼女。
優しく親切なひとである。

同じ町に住んでいても、わざわざ会おうと言って会わなければ、
なかなか偶然には会わないもので、話をするのはしばらく振りだった。

共通の話題として、話は自然と子供のことになる。
最近どう?子供達は、とクリスティーネに聞かれ、私は近況を話す。
彼女も、うちはこんなであんなで、と色んな大変な話をする。
そして彼女が締めくくりにこう言った。

子供が大きくなれば子育ても楽になる、なんて人は言うけど、
一体いつになったらそういう時が訪れるんだろうね。
いつだって何か難しいことがあって、もう頭抱えることばっかり。
こんな風になるなんて、私達、昔は想像もできなかったよねぇ。

まったくだ。私は電話で心から相槌を打つ。


ところで、話が飛ぶが、
うちの息子は、伯父(私の義兄)となかなかうまが合う。

昨年のクリスマスに、義兄の家に皆が集まった時のこと、
食事時に私達は、義兄と息子の会話を笑いながら聞いていた。

そして夫が、半分本気半分冗談で、兄に向かって言った。
ちょっとさ、1週間くらい、息子を預かってくれないか。
こっちは助かるし、そっちもたまには賑やかになって、いいんじゃないか。
(50代の義兄夫婦には子供がいない。)

すると義兄は、半ばマジメに返した。
いや、この静かな生活を、邪魔されたくないから、やだね。


「静かな生活」。

私は思った。ああ本当に、子供のいない生活とは、
様々な意味で「静かな生活」と言えるだろう。

子供のことで頭を抱えて悩み、子供のことで心を痛めることはない。
義兄と息子が仲が良いのは、肉親ではなくてたまにしか会わないからだ。

静かな生活とは、ある意味孤独な生活であり、
そしてそれは、その分自由気ままな生活でもある。
静かじゃない生活は、孤独じゃないかも知れないが、
その分様々な束縛もある。


かつて、思い切り両腕を伸ばし、抱っこ抱っこと親にせがんだ幼な子は、
一点の曇りも無い信頼を親に寄せ、親をひたすら愛した。

今、私の現実の一部は、
息子の喋るドイツ語を一語理解できないだけで息子から罵られる日々であり、
なんで親が両方ドイツ人じゃなかったんだ、と恨まれる日。

結婚をして、そのうち子供も欲しいねーなんて言った昔、
自分はこんな親になりたい、と夢を抱いた昔、
どんな現実がその将来に訪れるか、誰に想像し得ただろう。


クリスティーネには、二人女の子がいて、
上の子(K)がうちの娘と同級生だ。

Kは、この世に生まれた瞬間に、心臓の異常が見つかり大手術を受けた。
8歳頃までに、3度の大手術を受けてきた。
今、彼女の心臓にはペースメーカーが入っていて、
電池交換のため数年に一度の手術はずっと続く。

クリスティーネが、Kの誕生からどれ程心を痛め心配をしてきたか、
私には到底、自分のこととしては想像もできない。
Kがちょっと鼻風邪をひいただけでも、
クリスティーネはとても気に病んできたし、今もそうだ。

Kの妹(M)はまだ小学生で、見た目は明るく朗らかな子。
MはKに嫉妬し、KはMに嫉妬する。

例えば、Kが風邪を引けば、母親はとても心配するが、
Mが風邪を引いても、それ程には心配してくれない。
Mは、それが悔しくてたまらない。

Kは、Mが手術も入院もしない体であることが羨ましくて憎らしい。
自分は闘病生活が長く、親は就学を一年見合わせた。
病気のせいで体はとても小さく痩せている。
9年生(中3)の今でさえ、3学年も下の子より背が低い。
毎晩、自分で大腿に成長ホルモン注射をした時期もあったが、意味が無かった。
病気という事情を知らない親や子からは、小柄なことを驚かれ、笑われることさえある。
このつらさがあんたにわかるのっ?とKはMに怒鳴る。

これもまた、つらい話である。


クリスティーネも私も、立場と状況は全く異なるが、
くじける気持ちをじっと自分で支えつつ、今日も何とか耐えている。

終らぬ子育ての、その悩みは常に形を変え、
もしかすると自分が死ぬ時まで続くものなのかもしれない、
とさえ思う、今日この頃である。

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コメント

子供を育てていてそのときそのときずいぶん悩んだけれど、子供が大きくなって新たな悩みが出来ると、昔は何であんな高が知れていることで悩んだんだろう、今の悩みに比べればあのときの悩みなんか、、、と思ってしまいますよね。
そしてきっと将来、今の悩みもたかが知れた悩みになってしまうんでしょうけど、今現在ではとても心を悩ますものなんですよね。
お互いがんばりましょう。

ありがとうございます。
子供が離乳食を食べないと言っては悩み、
お昼寝をしなかったと言っては悩みしていたあの昔、
あれこそがまさに大変な悩みでした(笑)。
涙をこぼして発散し、ブログに書いて発散し、
今日も耐えて行きたいと思っております。

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