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耳ちゃんと聞こえてる?

私達夫婦の会話は、日本語。

それはかつて夫がそうしようと望んだことで、
彼はその姿勢を崩したことがない。

だから私は、出会いからかれこれ18年以上も
彼の日本語を聞いてきた。

18年の、最初の数年は、
彼の日本語を面白がってた呑気な私であったが、
そのうち少しずつ少しずつ長い時を経て、
いつか聞いているのが苦痛になっていった。
この先、どこまで続けられるだろう。

彼の日本語は、ある時からは上達も見られなくなり、
発音軽視の姿勢ゆえ、いまだ「橋」と「箸」が同じ発音だったり、
「見たい」と「~みたい」が同じ発音だったりする。
これは、しかし、かなり難しいらしい。
音の区別がつかない、と言うのは、何も夫だけではない。

日本語話してくれるだけいいじゃないの!うちなんてね!という声もあろう。
しかし、私としては正直なところ、聞くのはもううんざりなのだ。

それでも、日本人の誰かが彼の日本語を聞いたら、
それを下手だという人はまずいない。
彼くらい喋れていれば、多少発音がどうでも、文法がどうでも、
たとえ「を」と「に」がひっくり返ることがあろうとも、
普通なら文句を言ってはいけないのだ、と頭ではわかっている。

しかし、さらに疲れるのは、うちの場合会話中に、
互いに相手の言葉に対して「え?」と聞き返すことがほんっとに多い。
聞き返された方は、同じことを二度言う羽目になり、実に面倒くさい。
(でも、大昔は、そんなことなど気にならず許せてた、お互いに。)

夫の日本語に私が「え?」と聞き返し、彼がもう一度言う。
私の日本語に夫が「え?」と聞き返し、私がもう一度言う。

さあ話すぞ、とお互いに向き合っている時はまだいい。
ふいに話しかける(話しかけられる)時にはもう、
必ずと言っていいほど「え?何?」と聞き返される(聞き返す)。
お互い様とは言え、そのためにお互い気疲れする。

しかし、互いに理解し合うためには仕方が無い。
同じことを二度も三度も言おうではないか。
しかし、そんなことを18年もしているので、私はかなり疲れてしまった。
夫も同じであろう。

私は、年々夫の日本語を聞くのが嫌になり、
聞きたくないから聞くまい、という自己防衛の逃げの気持ちが働いてきたのか、
私の耳は多分、せまーくせまーくなって退化してきたのかもしれない。
はたまたこれは単なる、老眼ならぬ老耳現象?

実は昨年くらいから、
耳がちゃんと聞こえてるのかと夫に聞かれるようになった。
耳、ちょっと変じゃないのか、と言われることもあった。
私には、特に自覚が無かった。

ついに、自分の日本語の上達の無さを棚に上げ、
私の耳が悪いと言い出した夫であろうか。(ふっ。実にあなたらしいよ。)

私という人は、何かあると、
つい自分に非があるのではないかと自己を顧みる損な性格で、
だからそう言われた時も、
え?もしかしてほんとに私は耳が悪くなった(遠くなった)?と考えた。

しかし、日本でさえ医者に行くのは億劫なのに、
痛みも何も無い状態で、外国で医者にかかるのは気が進まない。
しかし、検査を受けてみるべきかな、とも思った。

確かに、キッチンで洗いものなどしている時には、
背後から話しかけられても、手元の水の音が邪魔になって、
夫や子供達の言葉を聞き取れないことがある。
水音のせいにしてきたけれど、ほんとは耳に異常があるのかもしれない。

折りしも2週間前から風邪気味で、
と言っても、熱も無いから普通に過ごしていたのだが、
先週からは、なぜか鼻の左側だけ鼻水が出る。
(風邪じゃないということなんだろうか。)
そのせいか、左耳が時たまほんの1秒ほどだがかすかに痛むことがある。
これを理由に、この際行ってこようかな、耳鼻咽喉科。

ということで、行ってきたのが昨日でその結果は、
耳は、見た感じでは両方異常なし。
鼻腔の奥の方、狭いですねーと言われる。
ドイツ人みたいな逞しい鼻じゃないし、作りも自ずと違うんじゃ?と内心思う。

長々と聴覚テストを受け、
顔の下半分(鼻~耳)のレントゲン写真も2枚撮られた。

結果は、右は鼻も耳も異常なし。
左側が、鼻腔奥で炎症を起こしているため、
耳に影響が出て若干聴力が落ちている。
しかし問題にするほどのことはない、とのことだった。

2種類の薬が出て、一つは抗生物質だった。
これから6日間、ちゃんと飲むよう言われる。
これを機に、6日間の禁酒に挑戦することにしよう。

ひとまず安心できてよかった。

これで、
「え?と聞き返すのはあなたの日本語のせいであって、
 私の耳が悪いのではなーい」
と堂々と言ってよいのだとわかり、
帰路を運転しながら、一人ほくそ笑んだ私であった。



補足:

夫の日本語に疲れた顔をすると、あるいは、堂々文句を言うと、
それじゃあドイツ語で喋ろうか、と言って彼は、
私の知らない難しい言葉ばかりをわざわざ並べ立て
(それはまさに漢字の熟語に匹敵しそう)、
ほーらわからないだろう、という意地悪をするので、実に腹立たしいものがある。
だからそういう時はこちらも、
普段は避けてさし上げている熟語をふんだんに盛り込んで対抗する。
そうするともう、互いに理解できない不毛な会話と化すので、
黙るほうが利巧というものである。

そして我ら夫婦は、さらに疲れるのであった。

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コメント

うちもガーネット家と同じような状況です.
私も時々,聞こえない時あるんですよ.

でも絶対に耳が悪いわけじゃ無いはず.
うちのところも,私が何かに集中していたり,周囲の音が気になったりしているときって、聞こえない.

おまけに<聞きたくない>願望もあるせいか,自然と耳に入ってこなくなってるか,これは私の場合ですけどね.

でもご主人,偉い.頑張って日本語で話しているなんて.
私の相方は,日本語を習おうという気持ちさえないもの.

ガーネトさんも,頑張って!

これ程に言葉を意識する生活を日々送ることになろうとは、結婚前には知りませんでしたねー。思いもしなかった。実に浅はかでした。今回の耳鼻科受診は、耳の微かな痛みもあったんですが、実は娘に勧められたことが大きかったです。(夫の言葉より娘の言葉の方がはるかに素直に聞けます。)例えば、誰かが「戦闘機が…」と言っている時に、私が「え?扇風機がどうしたって?」とか返すので、娘からも耳が変だと思われて仕方なかったかも知れません(笑)。

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