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絵葉書

昨日今日と、日中はさわやかな秋晴れだった。

あぁ春が来た、とか、あぁ夏が来た、とか、
そういうのをどうも実感できないまま、
しかし秋と冬だけはいつだってはっきりと訪れる国だな、と
ほぼ毎年思っている。
 
バイエルン州は、8月も半ばを過ぎると秋の気配が漂い始め、
9月に入れば朝晩めっきりくっきり涼しくなる。
先日など、早朝に10度という日もあった。


ドイツに戻り丸6日が過ぎ、こうしてすっかり秋の気配に包まれると、
日本で過ごした日々が既に遠い遠い夢だったように思えてきて
ちょっと…どころかかなり、切ない。

ただでさえ、秋が来るだけで落ち込む私。
高校生の時分からずっとそうだ。

暇を見つけては日本で買ってきた文庫本を読み、
切ない気分から逃避を図っているというのに、
先日は騒々しい来客があった。


先週金曜日のこと、
ラスベガスのおじさん夫婦が1年ぶりに我が家にやってきた。
おじさんと言っても私のではなく、夫のおじさん夫婦だ。

私と娘がミュンヘン空港に着いたのと同じ日(先週火曜)に、
おじさん達もミュンヘン空港に着いたのだった。
到着時刻がかなりずれていたので、空港で会うのはやめにしておいた。
(会ったら面白かったと思うけど。)
おじさん夫婦は、(私の)義兄の家に泊まることになっていた。
我が家とは140kmの距離がある。
 

じきに70歳になろうというおじさんは、いつも元気で、ついでに騒々しい。
私ときたらホームシックでメランコリックな状態なので、
こういう騒々しい人には正直会いたくないところだったが、
義兄の運転でわざわざ我が家まで来るというのだから仕方ない。


さて、まるでホームシックが悪いことでもあるかの様に
おじさんは私に向かってこう言い放った。
「おれはホームシックなど感じた事が一度も無いぞ!」

なんだそれは。自慢だろうか。
しかし私も言い返す。

私もねぇ、初めてドイツに住んだ時には…
…そりゃまあ、おじさんと違ってあの時はほんの2年ドイツに住んだだけだったけど、
あの時は私だってホームシックになんてならなかった。
別に日本食が恋しくもならなかったし、ほんとにほんとに平気だった。
でもねぇ……二度目に住んでみたらば、これが実に何もかも違ってきたのよ。
 
てなことをおじさんに言ってみるが、元気なおじさんには聞く耳がない。
そして私の言葉にも何ら説得力が無い。

まあいい。年上の人というのは、思い出も思うところも私よりあり過ぎて、
とにかく誰かに喋って聞かせたいのだ、自分の人生を。
そういう人に対しては、年下の私はただひたすら聞き手に回る方がいい。


このおじさんは、夫の父方の祖父母の養子、という人で、
夫の父親とはつまり一応兄弟だけれども、血のつながりは当然無い。

年をとってきてドイツの親戚縁者が恋しくなってきたのだろうか、
このおじさん夫婦は6年ほど前から毎年一回はドイツに来るようになった。


「それで?3年ぶりの日本はどうだった?
絵葉書、もちろん出してくれただろうねぇ?
妻は旅先から届く絵葉書が大好きなんだよ~」
とおじさんが私に言った。

実は京都の二条城で、
おじさん夫妻に宛てて娘と二人で臨場感溢れる絵葉書を書いた。

が、しかし、書いたまでは良かったが出すのを忘れ、
そのまま京都から東京まで新幹線に乗ってしまい、
その後東京でもほかに気をとられて出すのを忘れた。
それを、なんと成田でも出すのを忘れてドイツにまで持ってきてしまった。

ドイツに戻った翌日に、仕方が無いからドイツの切手を貼ってやっと投函した。
ドイツで出すことになってすみませんと言い訳も忘れずに書き添えた。
おじさん達がラスベガスに戻る頃にはポストに届いているはず。


「も、も、もちろん、KYOTOで書いたわよ(←嘘ではない)、
KYOTOって、もちろん名前くらいは知ってるでしょ?」と言いながら、
ドイツの消印で届く葉書をおじさん夫妻が見た日には何を言われるかと思うと、
今から既にいやな気分がちょっとだけする。


「京都でだけかい?HIROSHIMAでは書かなかったのかい?
OSAKAでは?」と言われ、
「そこまで絵葉書書きに割く時間は無ーい!」と
言いたい所をぐっとこらえた。
実は私は、絵葉書一枚書くのにも時間がかかる。
相手を思ってたくさん書こうとするから、なのだが。


しかしそれにしても、
騒々しいおじさんのおかげでメランコリックな気分もちょっと吹っ飛んだ。
ああやって外国で元気に毎日を生きている人を
見習わなくっちゃな、と思った。

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コメント

NoTitle

ホームシックもお辛いと思いますが、でも、それくらい楽しい日本旅行で本当によかったと思います。

ドイツの方は旅行に行った時に、友人や家族に絵葉書を書かなければいけないらしいですね。私のドイツ人の友人も、いつも旅先から絵葉書を書いてくれるので、私も楽しみなのです。日本人だと、旅先からここまでマメに絵葉書を書いたりはしないので(もしかしたら、お書きになる方もいらっしゃるのかもしれませんが…)、余計にありがたみを感じるのだろうと思っていたのですが、ドイツ人でもやはり旅先から絵葉書をもらうのは嬉しいのですね。ドイツの方は、こういう絵葉書はたくさん受け取るでしょうし、もう慣れっこになってしまっているのかなと思っていました。

それにしても、ガーネットさんの今回の日記を拝見して、絵葉書を書く側になると本当に大変そうだなあと思いました。旅行なんて、ただでさえ慌ただしいのに、その中から絵葉書を書く時間を捻出するのは容易なことではないですよね。私だったら、現地で出せなくてドイツから送ってくれても十分嬉しいですが、おじさんは現地からの葉書でないと嫌なのですね。それに、「京都でだけかい?」というちゃっかりしているというのか、おじさんの正直なところは、可笑しかったです!

NoTitle

ずっと以前は、旅行中にせっせと絵葉書を家族や友人達に書き送ったものですが、そういえば親がいなくなってからあまり書かなくなったようにも思います。
私の場合、何を書こうか考える時間が長いんでしょうね、書くのに時間がかかることが多いです。夫が5枚書くうちに、私は1枚も仕上がりません。ただ、彼の場合は簡単で、ハロー!今どこそこに来ています、天気も最高だよーくらいで終わるので、あっという間に10枚くらい書いている。
でも、こうやって帰ってきてみると、ああ広島でも大阪でもなんで絵葉書探さなかったかなーとか思いますね。確かに時間は無かったのですが。

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