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うつというのは

ちょうどよく湿気もあって、
気温も10度とかなり穏やかな今日の日曜日。

ENKE選手の自殺から早くも5日ですが、
何だかこう……考えさせられてましたこのところ、
うつと自殺について。

ナショナルチームGKだったENKE選手。
そういう立場にある人がいくらなんでも自殺とは…
と、誰もが思うわけですよね。
プロのスポーツ選手なのだから、
普通の人よりはるかに強靭な精神力があっただろうに、と。

今もそのショックに沈んでいる
ドイツサッカーファンの大人達子供達、
やりきれない思いで居ることでしょう。

今はサッカーをやめてしまったうちの息子も、
少し前まではエンケ選手のファンでした。
彼のタンスの中には、エンケ選手ネーム入ユニフォームと
ハノーファー96のキャップとブランケットが入っています。
(伯父からの昨年のクリスマスプレゼントでした。)

エンケ選手が隠しておきたかった病気(うつ病)ですが、
こうやって人を死に追い込むこともあるわけで、本当に恐ろしいものだなと。
さっきまでとりあえず体はぴんぴんしているかに見えた人が、
家族の目を盗んで自ら命を断ってしまうのだから凄いことです。

死にたくなる程つらい気持ちで何年も生きている人も気の毒なら、
うつ病の人を、そうとわかっていて手助けできない身内もまた
さぞつらいだろうと想像します。
それに、無関係な人々からは、「いくら何でも死なせることはないだろう。
何か手があったんじゃないか?」と思われるのだろうし。

自分の生に、何の意味も見出せなくなって時が経ち、
生きる道の先にあるものは真っ暗な絶望だけで、
死ねば楽になれそうだ、そうだ死ぬしかないのだと
そう思ってしまうんでしょうね、重くなってくると。

私にも、うつな気分になっていた時があって、
あれはこの二度目のドイツで1年程が過ぎた頃だったかな。
3ヶ月か4ヶ月か続いたその気分、なかなかつらいものがありました。

しかし、つらかったと言っても私の場合などまだまだはるかに軽かったわけで、
いざ死のうと思って具体的な策を練るところまでは全く行かなかったわけです。

段階で言えば幸いなことにごく初期であったと言えるであろう私のうつ状態。
あの時の私の心境はと言うと…こんな風でした。

1.何もしたくない。外に出たくない。人と会いたくない。

でも、買い物には行かなくちゃ、子供の学校の送り迎えもしなくちゃ、とは思い、
とりあえず日常生活に支障をきたすことは何とか避けていました。

2.気持ちは落ち込むばかりで食欲も無い。

でも、ただでさえつらいのに、
この上おまけに栄養失調で病気にでもなっては嫌だと思い、
まあ何とか食べる様に心がけてはいました。

3.明日自分が死んでも、誰も困らないばかりか、
悲しんでくれる人さえどこにもいない気がする。
だから死んでも別に問題ないようだわ。

しかし死ぬための手段というと、何も思いつきませんでした。
…と言うか、全く何もしたくないのだから、それを考えるのも億劫だった。

4.それにしても、元気なのに死ぬ、というのは、なかなか大変だろうな。

5.私が外国で死んでしまったら、
日本のたった一人の肉親がわざわざ来なければいけなくなって、
それも大変だろうな。迷惑かけるし。

6.どんな手段にしろ自分が突然自殺したら、
夫は何かと後始末が大変だろうな。

…とまあ続くわけですが、
あの頃、偶然だったのか何なのか、
息子が何故か時々私に向かって言った言葉がまた拍車をかけました。
「ママはもう死んでいいよ」
言っている本人は無邪気なものだったのですが、
うつな気分でいた私にとってはもう、まじに涙が浮かぶ程悲しかったものです。

しかしまあ、上記の様なことを思う余裕がまだ気持ちの中にあって、
落ち込みながらも、ごく普通の判断力と想像力とを失ってはいなかった。
死ぬしかないという所にまでは追い詰められなかった。

そんなわけで私は今もこうして
とりあえず傍から見た目にはとても元気に生きていて、
時として日替わりでやってくる更年期障害だか本当に病気なんだか
よくわからない様々な症状に困り悩みながらも、
呑気にここでこうやってブログを書いています。

しかしあの時、自分のつらい気持ちを
話せる人が誰もいなかったのはつらかったです。
聞いて哀れんでくれて支えてくれる人が、
どこにもいなかったんですね。

…いえ、その言い方は合っていないかも知れない。
こちらから頼れば優しい言葉をかけてくれるドイツ人の友人が近所にもいたのですが、
あの時の私は、外に出たくもなければ、人に会いたくもない状態だったので、
だから、「誰もいない」という状況を自分で作ってしまっていたわけです。

結婚している以上は
最も身近な配偶者に支えてもらえば良いようなものですが、
夫は「そんなのは気持ちの持ち様だ、弱気になるから駄目なのだ」
と考えるタイプなので、
こちらの気持ちをさらに明かしても意味が無く、私は口をつぐむことに。

真相は誰にもわからないこととは言え…、
エンケ選手、、、死の直前はどうだったのでしょう。
車を線路に乗り上げたまでは間違いなくまともじゃなかったでしょうけれど、
いざ列車に轢かれる直前には、
その轟音に恐怖を抱き正気が目覚めたのではないかと想像します。
引き裂かれ意識を失くすまでの、一瞬ではあっても猛烈な苦しみ。
死と向き合ったその瞬間に、人生最大級の後悔を抱いたのではないかと。

彼の心を癒やすものが何年も見つからなかったこと、
本当に残念でなりません。

先のことは何も見えません。
良いことがこのまま続くかも、悪いことがこの先終わるかも。
でも、見えないからこそ、
全ての確信はその先で危ういものとなるかも知れず、
全ての絶望は単なる勘違いであることを、
忘れずにいたいと思います。

人は、殺してはいけないわけです。
殺してはいけないならば、自分のことも殺してはいけない、となる。

しかしそうとわかっていても、
人は絶望の深い穴に落ちてしまうことがあるわけで、
這い上がれずもがき苦しみ、思考も判断も想像も失って、
もはや死ぬしかないのだ、となった時、
どうやって「戻れば」よいのでしょう、そうなる前の時点まで。

うつというのは本当に怖い病気だと改めて思ったこの数日でした。


今日がお別れのセレモニーだったのですねエンケ選手。

Abschiedszeremonie in Hannover

今は安らかになれたのでしょうか。
ご冥福をお祈りします。

Abschiedszeremonie4.jpg

Abschiedszeremonie5.jpg




・・・・・。

いや、やっぱり、安らかには
なれなかったんじゃないかと…。

魂が、自殺の場所から
動けなくなってしまうんじゃないかと、
そんな風に思います。

かわいそうだけれど、
本当にかわいそうだけれど、
やはり自殺は良くない。
そう思います。


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コメント

NoTitle

エンケさんの自殺は、私だけに限らず、ドイツ全体に哀しみを巻き起こし、そして<何故,彼が??>という多くの疑問が問いかけられましたね。

息子さんは私なんかよりもっと彼をみじかに感じて、辛かったのでは。

ガーネットさんも大変な時があったんですね。
今は元気になられて、本当に何よりです。

人間、皆、何かしら他人には言えないことってありまよね。
鬱病と診断されている方達の他に、プチうつ、、という隠れ鬱の方達も大勢いるはず。

エンケさんのように、このことを公にしたくない方達が多いのは事実のようです。

けれど、有名人であろうとなかろうと、誰にでも悩みは持っている。ましてやドイツでの鬱病患者の数の多いこと。

ここまでポピュラーな病気になっているようでも、実際にはまだまだこの病気に対する偏見が多いのは本当に残念。

スポーツ選手だって、ただの人間。

奥様もサッカー以外にも素敵なことはあるんだよ、それだけが生き甲斐じゃないよ、、と頑張ってご主人を支え続けられたのに、、、。

本当に無念の死です。

人を殺してはいけない、、その逆に、自分を殺してはいけない、、、。

理性ではわかっていても、、、、。

理性のブレーキがかからなかったほどに、苦しんでらしたエンケさんのご冥福を祈るばかりです。

NoTitle

自殺というのは本当にやり切れませんね。悲しいです。
特に、いじめを苦に死ぬ子を思うと…。
私はかつて不思議な夢を一度見たことがあり、それは(このブログにも書いたことがありますが)飛行機事故で自分が死んだ夢でした。空中に浮かんだ自分の「意識体」が、地上の惨事を見おろし、同時に自分が死んだことを悟るのですが、人間死ぬとそんな風に「浮かぶ」ものなんじゃないかなと、あれ以来思うようになりました。でも、自殺をすると、「その場所」から身動きできなくなるのではないかなと。
もしも彼が空中からあのセレモニーを眺め、スタジアムを埋め尽くした45000人のファンを眺め、その悲しみに触れることができたなら、決して、「ああ死んで良かったー」とは思わなかっただろうと思うわけです。だからやっぱり自殺は良くない。
でも、理性の歯止めを失い、死にのみ救いがあると信じる時、その絶望の果てにはもう他の行動など何もできなくなるのでしょう。
私は、その一度のうつ状態を経て、うつの暗い穴の縁に立たされた時にはぐっと踏ん張るチカラを得たような気がしています。「落ちてしまう前に」ある程度コントロールできるようになったというか。だから要するに私のはよっぽど軽かったんでしょう。ラッキーでした。癒してくれたのは、春先に咲いた庭の小さな花々だったりしました。それがきっかけになり私は這い上がれたのですが、エンケさんほど重い状態になってしまったら、本当にどうなってしまうんでしょう。怖い病気ですね本当に。

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