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息子の名前に馴染む頃

ドイツ生まれの息子。
日本の名前とドイツの名前を持っている息子。

息子が生まれた時には、
男の子が生まれるとは知らなかったから、
病院のベッドの上で1週間、
ドイツの名前も日本の名前も、たっぷり悩んだ。

そして息子のことを、
私たちはずっと日本の名前だけで呼んできた。
日本にいた間は、それで別に問題なかった。

ドイツに来て息子が1年生になるに当たって、
親は何も考えず日本の名前で手続きをした。

それから息子は、自分の日本の名前を
まわりから変な(しかしドイツでは普通の)発音で呼ばれる様になり、
からかわれたこともあったから、ずっとそれが嫌だった。

5年生になる時、進学を機にこれからは、
ドイツの名前を使うと決めた息子。

親は反対しなかった。
息子の気持ちはよくわかるつもりだった。

学校で、息子はドイツの名前の子になった。

それでも親は、急に息子をドイツの名前で呼べなかった。
家の中ではいいだろうと、思っていた。
親はいつまでも、前の名前で、日本の名前で、息子を呼んだ。

ドイツ生まれの息子の、私への反発は、やがて日本嫌いに。

「家の中でもどこででも、もう日本の名前で呼ぶな!」

息子に何度言われても、親はなかなか直せなかったが、
1年経ち2年経ちして、息子が本気で怒るようになった頃、
今後は極力ドイツの名前で呼ぶようにと、心がけた。

心がけたが、やっぱり直らず、
ついつい前の名前で呼んでしまった。

今さら息子の呼び名を変えるのは、とても奇妙なことだった。
まるでよその子を呼ぶ心境で。

よその子…ほんとにそんな感じだ。
今はもう、「以前から知ってる他所の子」みたいな感じだ。

私が息子をドイツの名前で呼ぶことが、
ようやく出来てきたこの数ヶ月間。

呼ぶにつけ、私は誰を呼んでいるんだろう、
みたいな気分がぬぐえない。

あの子は確かに私が産んだ子で、
あの子はとっくに私が産んだ子じゃない、
みたいな。

そうだ、あの子は、もういない。

おかしなことを、楽しいことを、
いろいろしでかしては笑わせてくれた、
無邪気なあの子は消えてしまった。

これも成長の一過程、大したことないと、
心の中で信じていても、息子の言動には泣きたくなることしばしば。

(私は涙もろいが、しかし息子の前では容易く涙をこぼさなくなった。
 母親の涙が、息子にさらなる嫌悪感を抱かせると気付いて以来。)

だから私の気持ちの表面はこんな風。
「かくなる上は、いっそのこと、さっさと十八になって(ドイツでは18歳で成人)、
とっとと家を出て行ってくれるといい」

「今の」息子がいなくなったら、家族全員ほっとする。

そして2年も3年も、そうだ何年でも、
帰って来なくていい。いやほんと。

親の顔を見たいと思う時が来るまで、
どこかで元気にやっててくれたまえ。

それでも親はあほなので、待つとはなしに待っている。
いつか戻ってくれるんだろうと。

いや、違う。
いつか、越えてくれるんだろうと。

そのうちそのうち。いつかいつか。きっと。

息子をドイツの名前で呼ぶことに、
やっと少し馴染んできたこの頃。

もう、「来年あたりには(息子が)もうちょっとマシになるかも」と、
毎年毎年考えるのは、やめにしよう。


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コメント

なんとなく

ガ-ネットさんの気持ちが分かるような気がします。
家の子供達は日本大好きですけど、話す言葉は主にドイツ語ですし、彼らが持つ感覚もドイツ的だから、私との間に距離を感じてます。まさに自分の子供であって、よその子供のような感じです。
ドイツに馴染む子供達を見て、嬉しく思い淋しくも思う今日この頃です。

anneさんへ

今回はこうして「書いてみた」ことで多少なりとも発散しました。
それに、共感して下さる方がいらっしゃると思えばまた気分も軽くなります。
 
ここ何年も息子の言動には傷つき腹を立て理解に苦しんでもきたので、いっそ互いに姿を見ない方が良いのだろうと思う気持ちは本心ですが、でも現実には、追い出すわけにもいかなければ、私が出て行くわけにもいきません、今はまだ。

我が家の場合は、息子の話す言葉はほとんどドイツ語で、私が彼の言葉をわからなければ即バカにされる日々です。もうね、口聞かないのが一番いい(笑)。

私は、息子が「ドイツ人として在り」たいならば別にそれでいいんです。寂しくも悲しくも残念でもない。好きにしてくれという感じ。いつの日にか息子が、「おふくろが日本人でもまぁ良かったかな~」とか言ってくれる日が、来ても来なくても、どうでもいいですね。とりあえず、「自分」をしっかり持って、できることならいつも、基本の所で「楽しく」生きていてくれれば、それで充分、私のことは忘れても、って感じです。

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いつかきっと

ガーネットさんの心境に至るまで、どれほど悲しかったことかと思うと、言葉がみつかりません。
私は子供がいませんが、それでも想像に難くありません。
いつかきっと、とやはり思います。
優しいガーネットさんのDNAをちゃんと息子さんももっているはずですもの。

あーにゃさんへ

ここ何年かの、息子の(ちょっとここに気軽に書けない)言動に対しては、確かに「悲しい」気持ちも私にはありますが、この「名前」に関しては、別に悲しいわけではないんです。息子が日本名を嫌っている間(特にこの半年位は強いですね)は、やはりそれを尊重してやろうと思い意識するようになりました。でも馴れというものはなかなか取り外せない…。まぁ、よその子みたいな感じはしても我が子なんだし、「奇妙」ではあってもそこの部分では「悲しい」とは違う気持ちかな。だから大丈夫。

例えば、国籍なんかはもう、ほんとどうでもいいですね。このまま行って、選ぶ時が来たら是非ともドイツを選んでほしいですね。そういう部分では自分の気持ちに正直でいてほしい。それに私は、そういう所での引き際はいいですからねー今から既に引いてますから(笑)。

願わくは、もしもこの先identityの問題にどーんとぶつかることがあったら、自分を苦しめないでほしいなと。それだけです。(そこで苦しまれてしまうと、その境遇に産んだこちらもつらいので。)

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