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中途半端

「どっちも中途半端なんだよねー」と娘が言う。
ドイツ語も日本語もどっちも中途半端だと。

そういうことを言われると、
親としては唸りたくなる。ちょっとつらい。



生まれた時から「言語」がダブルでやって来たのだから、
さぞストレスだったろうなぁと思うし、
今もそうなんだろうとも思う。

そうなんだよね、
とりあえず一つを習得すればよい人よりは、
大変に決まってる。

思い起こせば、
親から叱られるとか何かを注意されるとかいう時の、
(幼かった頃の)子供達は特に気の毒だったな。

いつだって、母親から日本語で言われては、
(普通ならそれで充分だというのに)父親がまた
ドイツ語で同じことを繰り返した。
ドイツ語ならばこう言うんだ、の見本みたいに。

親の方は単純に、これがバイリンガルへの、
手っ取り早い近道と思っていた。
そんなダブル攻撃に、じっと耐えてきたんだものな。



「子供ってすごいんだから。
どうということなくバイリンガルになっていくのよきっと」
くらいなことを、私はかつて思ったものだ。

けれどもそんな簡単じゃなかったんだなと、
時をかけてわかってきた。

人間、無いものねだりは常だけれど、
ダブルで持っているなら有利に決まっているだろうと思われる様な状況でも、
それがかえって、こうじゃ無ければよかったのにとか、
こうじゃなければ少なくとも中途半端な気分にはならなかったんじゃないか、
とか、思ったりすることもある。



日本語&ドイツ語。
学校では、英語と
(英語は4年生からお遊び的な授業が始まり、5年生からは本格的。
 そして以降はもちろんずっと必須科目)
フランス語と(←6年生から昨年まで4年間やった)
イタリア語(←今年度始めた。初歩からのイタリア語かフランス語継続かの二択だった)。

16歳の現在までに、5ヶ国語をやって来たかと思うと、
実に大したものだ。しかし娘だけじゃない。クラスの他の生徒達だって、
そこから日本語が一個減るだけだから、4ヶ国語だ。大したものだ。



そう言えば、「ヨーロッパの言葉を学ぶに当たって、
なまじ日本語が出来ることが頭の中で邪魔になってる」と
娘に言われた時期もあったなあ。
あれはフランス語で大変だった頃だ。



娘の最近の悩みは、
来年再来年とさらに難しくなるドイツ語。
それも、授業のためのドイツ語。

授業向けに「話す」。卒業試験向けに「話す」。
そういう所を苦手とする娘だ。

「母親が日本人だから」
なんていうハンディは、学校ではもらえない。

それに先生の中には、わざわざおしえなければ
娘の片親がドイツ人じゃないと気付かない人もいる。

だからやっぱり、ドイツ語もかなり出来てるはず、と思う私だが、
「ママに『学校のドイツ語』がわかるわけ無いじゃない」と言われると、
それはごもっとも。



最近私は思う。

英語やその他の外国語は、
後からやってもかなりの所までいける、頑張れば。

それにそれらの言語に関しては、
なにもネイティブレベルを求められるわけじゃない。
こちとら、日本人かドイツ人なのだし。
(もちろん、こと英語に関しては、かなりのレベルまで行ってほしいが。)

けれども親の母語は、やはりネイティブレベルで話せるようになってほしいものだ。

しかし無理なら(うちの息子を見ていたらどうも両方は無理そうだが、それはそれでいい)、
少なくとも、自分のベースとなる言語一つはマスターしてほしい。
当たり前と言えば当たり前だが。

「(国籍の異なる)両親の言葉」と思うから、
母語として話せる様にならなくちゃ、となるわけで、
そういう意味ではストレスは続きっぱなしかも知れない。

一つの国にずっと暮らして、引越しも転校も無く、
親の国籍も一致していて、一つの言語だけを、
自然に、かつ、確実に、習得していたなら、
もっともっと良かったんだろうなぁ。
もっと他の部分で楽しめたんじゃなかろうか。

…なんてことを思うわけだが、
もちろんそれは娘に言わない。



親の都合でいくつもの国に暮らし、
行った先々で現地のインターナショナルスクールに通い続けた子もいるわけで、
英語が両親の言語ではなくても、英語が最も得意、
になる場合だってある。

そういう子は、さらなるストレスを超えて、花開く、のだろうか。
母親の、あるいは、父親の母語を、うまく話せなく育っても。



「素晴らしいことじゃないの、二つの言葉を話せるだけでも」
と言ってみても、「いつか花開く!」と言ってみても、
あんまり娘の気休めにならない。

だから、「苦労かけるね 」と心でつぶやく。心の中でだけ。
たいへんだよねほんと。

時に人から羨ましがられても、
これって結構たいへんなんだよね、二つの国籍に挟まれるっていうの。
アイデンティティでも悩むしね。

でも娘よ、あなたは中途半端って思ってるけど、
それでもあなたが日本語をまだ好きでいてくれて、私はとても嬉しいです。
普段の日々で、そこにはかなり、救われてます。


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コメント

子供の悩みと親の気持

とてもよく分かります。
幸いうちの街には外国出身の親ってたくさんいて、
家庭内トルコ語、ギリシャ語、ロシア語、などなどなどの子供が多く、うちの子たちは確かにちょっと言語類の違うものだけれども、やはりそれぞれの補習校に通っている子供達もいて、
前向きに「うちもがんばろう」という気持になれます。

引越しもなく、一つのところで生まれ育つことが出来たなら…。
これ、私もずっと思い続けてきたことです。
幼なじみを作ってあげたかった。
今後この家がみんなが帰ってくる家になるよう、引越しのないよう努力するばかりです。

NoTitle

私自身は、生まれた所で育ち転校経験がありません。大人になってからも、いざ国際結婚が身近なものとなるまでは、自分が日本人だとの自覚すら大して無かった、あまりに当たり前過ぎて。自分のルーツは何だろう、どこにあるんだろうと悩むことが無く、そういう悩みに気づくことすら無かったわけで、それはそれである意味幸せだったなと思います。

少なくとも高校卒業位の年齢までは、少なくとも一つの国に、留まってあげたかったなあと、今更思います(うちは出来なかったけれど)。というのは、18歳くらいまで一箇所に留まっていたら、迷わないでいられるベースみたいなものがもっと出来そうな気がするんですよ。

ほんとせめてこの先は「引越し無し」で行ければよいのでしょうけれど、そうなると今度は、「ドイツに留まるのも悪くないけど日本と永遠にさよならというのも寂しいもんだな」と思ったりして私が揺れ動く。それがまた家族の、子の心の、不安定さに繋がるのかもしれません…。

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