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それぞれの気持ち

先日娘がミュンヘンに出かけたついでに、
夜にはおばあちゃんの所に泊まりに行った。
(それはつまり夫の実家であり、私の義母の所。)

翌日の夜になって帰宅した娘が、むすっとしていたので理由を聞いたら、
案の定「おばあちゃんの言う事がいちいち癪に障ってさぁ」との返事。

娘があちらに泊まりに行くのはごくたまにだが、殆どいつもそうなる。

大抵はこの2パターン。

・義母が娘に娘の将来の展望を聞き、
 娘が自分の夢を話すと義母がそれに賛成しない。

・義母が私達夫婦の在りように対する自分の意見を娘に向かって言い、
 それが娘の気に障る。(そんな事は義母が直接私に言えば良いところだ。)

娘がそれでもたまに泊まりに行くのは、
義母の近所の従兄と会って話すのが楽しいというのもあるが、
何よりもミュンヘンで遊んだ後ではあちらの方が帰るに断然近いので。

さて、前述の2パターンのうち、今回は前者について書こう。

義母が賛成したくない娘の夢。それは例えば…。

「将来ドイツには住みたくない。
ヨーロッパ以外の外国に留学もしてみたいし、いずれは日本で暮らしたい。
あんな仕事に興味がある、こんな仕事もしてみたい」

ところで、義母は16年程前に一度だけ日本に行ったことがあり、
それはもちろん私達が東京に住んでいた頃のことだったが、
日本の東京もその他の場所も、義母にとっては全く好きになれず、
美味しいと思うものも無ければ、車も人も多く空気は臭って、
ただただ疲れた旅行だった。らしい。

(私は当時、娘が7ヶ月の赤ちゃんだったこともあり、
下手なりにも義両親をもてなすことだけで大変で、
あの時の義母の心情までは思いやれなかった。)

そもそも義母は東京になど行ってみたくは無かったが、
自分の息子にあんまり勧められて、
それじゃあ息子が気に入って住む東京という大都会を
一度見てみようかと、そう思っての旅行だった。
結婚の時も互いに会った事の無かった私の両親に、
一度は会いに行こう。そう思ったのも大きかったかも知れない。

確かに、アジアというのはヨーロッパから見ると別世界だし、
特に田舎を愛する田舎住まいの人にとっては、
日本人でも東京に馴染めぬものを感じる人は多く居るだろうと思う。

義母は思っている。東京なんて住む所じゃないと。
だから、孫が例えばイギリスに行くのはまだ良いとしても
(義母にはロンドンに住んでいる親友が居る)、
東京なんぞには行って欲しくない、というのが本心だろうと察する。

義母は娘に言う。
「あなたが将来やりたいと思うことを、応援してあげたいのは山々だけど、
外国留学とか日本に引越すとかは、私はして欲しくないのよ。
あなたにはいつもドイツに居て欲しい」

この台詞、娘でなくても気に障るものがある。

ドイツに住んでいる今でさえ、
娘が祖母に会うのは年にせいぜい3、4回というところだ。
その数少ない再会の為に、
孫にずっといつもドイツに居て欲しいと言うその気持ちは、
娘に理解できないばかりでなく、私にも理解できない。

「そのたった何回かのために、私にドイツに居ろと言うの?」
と娘は言うが、娘の言い分はもっともであると私も思う。

いや、義母の気持ちもわからないでもない。
けれども、あまりに自分本位の様な気がして、
それは「思っても口に出すものじゃない」類のことだと思う。

冷たい言い方かも知れないが、私はこう思う。
この世に別れを告げる日がそう遠い将来のことではなくなった年老いた人が、
若い人の語る夢に水を差すというのはどういうことだろうかと。

もしも娘が、「おばあちゃんのために夢を諦めてドイツに居ることにする」
と言ったら、義母はどう思うだろう。嬉しいだろうか。

娘が、おばあちゃんのためになら喜んで!と心底思うとしたならそれはそれだ。
おばあちゃんの為に諦められる程度の夢だった、
ということでそれも一つの形だろうと思う。

けれども、泣く泣く諦めるみたいな事を娘がしたら、それでも義母は嬉しいだろうか。
しめしめ、孫はドイツに残るぞ、この私のために、と思って嬉しいだろうか。

今諦めさせたことで、後々恨まれちゃうかな、なんてことは考えないんだろうか。
老人の望みは、若者の幸せにはならないかも知れないと、思わないのだろうか。

私は、目の前に居る人が
「どうしても」「何が何でも」と思っているなら、
道を外れたことでない限り応援してあげたいと思う。
後押しだって、出来るならしてやりたい。
だから子供には、夢があるなら ― 今はそれが無いとしてもいずれは見つけて ―
迷わず努力して進んで行って欲しいと思う。
年寄りなど(私も含めて)、置いていけば良い。

我が家には子供が二人いるが、年齢順では娘が家を出るのが先になる。
そして娘が居なくなって私が寂しくなる日が来ても、
それはそれだ。何とでもなる。

私は、昔々を振り返る。
私は、「お前が家を出て行ったら寂しくなる」と親に言われた覚えが無い。

家を出る日、
私に何か言葉をかけようとしたが涙が先にこぼれそうだったので口をつぐんだ、
という母親の心情を、間接的にではあったが私が知ったのは、
その別れから何年も何年も経てのことだった。

寂しくても、それを一言も口に出さずに送り出してくれたあの日の親を、
親がこの世から居なくなってこれまた何年も経った今しみじみと想う。

私は、義母の様な言葉を決して言うまいと思う。
送り出す日が来るならば、あの日の両親の様に、子に寂しさを気取られること無く、
送り出してあげたいものだと思っている。


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